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「それではまず、簡単に自己紹介をお願いします。」

――多くの面接で最初に聞かれるこの一言。
「準備していた志望動機や自己PRはあるけれど、自己紹介って何を話せばいいんだろう？」
そう感じたことがある方は、実は少なくありません。

自己紹介は、面接のアイスブレイク的な位置づけと思われがちですが、実際には面接官が“この人はどんな人なのか”を掴むための大切なパートです。
だからこそ、しっかりと準備しておきたい場面です。

まず押さえておきたいのは、「自己紹介」は単なる職務経歴の羅列ではないということです。

面接官はすでに履歴書・職務経歴書を読み込んでいます。
書類に書いてある内容を一語一句なぞる必要はありません。

では、何を話すのが適切なのでしょうか？

自己紹介で好印象を与えるために必要なのは、以下の3つの要素をシンプルに、かつ自分の言葉でまとめることです。

① これまでのキャリア概要
　→「どんな業界・職種で、どのくらいの期間、どんな仕事をしてきたか」
全体像を簡潔に伝えることが大切です。

② 仕事上の強みや工夫した点、成果
　→数字や具体例を交えて、印象に残るようにします。

③ 今後の志向や転職理由に触れる
　→なぜ転職を考えているのか、どういうキャリアを目指しているのかを簡単に伝えます。

この3点を、1分程度にまとめて話すことが理想です。

「○○と申します。
これまで約10年間、食品業界で法人営業に従事してまいりました。
中でも新規開拓を中心とした営業活動を得意としており、前職では年間で50社以上の新規顧客を開拓し、年間売上で前年比120％を達成いたしました。
お客様の課題に耳を傾けながら、社内の製造部門や物流部門と連携し、柔軟な提案を行ってきたことが評価され、社内表彰もいただいております。
今後はより提案型の営業スタイルを追求したく、課題解決力を強みとする御社にて新たなチャレンジができればと考えております。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。」

「○○と申します。
これまで約8年間、アパレル業界にて接客販売に携わってまいりました。
日々さまざまなお客様と接する中で、丁寧な対応や相手の要望を正確に汲み取る力を養ってきました。
また、店舗では売上や在庫管理も任されており、正確性や責任感を持って業務を進めてまいりました。
今後はこれまでの経験を活かしながら、組織の内側から支える事務職に挑戦したいと考え、現在転職活動をしております。
未経験ではありますが、基本的なビジネスマナーや社会人としての対応力は自信があり、貴社でステップアップしていければと考えております。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。」

面接官が自己紹介を通じて見ているのは、「人柄」や「話し方」「論理的な構成力」です。

✔ 話の流れはスムーズか？
✔ 簡潔にポイントを押さえているか？
✔ 自分の経験を自信を持って話せているか？

この時点で好印象を持ってもらえれば、後のやり取りもスムーズになります。
逆に、つまずいてしまうと、「準備不足かも…」「自己理解が浅いかも…」と感じられる可能性もあります。

● 1分以内を意識
長すぎると聞き手の集中力が切れます。テンポよく、コンパクトにまとめましょう。

● 話し終わりは「よろしくお願いします」で締める
無理にオチや余談は入れず、丁寧な締めが印象を良くします。

● 鏡や録音で練習しておく
自分で話すと意外に詰まるものです。練習しておけば、本番でも自然体で話せます。

自己紹介は「形式的な導入」ではなく、“あなたの第一印象を決定づける最初の勝負どころ”です。
内容だけでなく、話し方や表情、姿勢なども含めて、相手に伝わる印象が決まります。

事前に構成を組み立てて、繰り返し口に出して練習しておくこと。
これだけで面接のスタートが、驚くほどスムーズに進むようになります。

「どこから話せばいいのか迷う…」と不安になった方こそ、ぜひ一度、自己紹介の型を見直してみてください。
準備は、あなたの自信につながります。